学校行事で、遠足でした。

……遠足だよ、遠足。この年になって。
昔は「遠足」と云う単語に、底果敢ない高揚感を感じたものだが、この年になると「面倒い」とか「怠い」とか「休みてえ」とか思ってしまうものだよ。幼い頃のときめきを失くして行くことで、少年は大人になるのだろう。きっと
……まあ、遠足と云うより、建築見学会なのだが。

今回の目的地は、某禅宗系の寺院。

何を隠そう、小さい時はお坊さんになりたかった。
毎日、木魚叩いて御経唱えて座禅組んで問答して。御殿様に屏風から虎を追い出させてみたり、狸と真夜中に腹鼓を打ち合ってみたり、琵琶法師の全身に御経を書いたつもりが耳だけ書き忘れてみたり、護摩祈祷して天皇に皇子を与えた褒美を拒否された腹いせに鼠を従えて比叡山の経典を齧り尽くしてみたり、煩悩から解脱できなくて妖怪変化になってしまってみたり、したかったんだよう(笑)。
美形の小坊主を手込にして稚児にするとかさ(ヲイ)。
それ以上に当時は、修行すれば不動金剛金縛りの術を掛けられる様になったり、結界を張れる様になったり、眼から怪光線を発射できる様になるもんだと思い込んでいたし(当時は禅系と密教系の違いが解らなかった)。
そんな訳で、わくわくして見学先の寺院に到着。
やっぱり古刹は趣があって心が和むので良いものだ。例え俺の脳味噌が、けしからん煩悩で煮えたぎっていたとしても……。

実はこの寺院、過去にもゼミで訪れたことがあるんだよね。
それで、若い修行僧が寺院の中を案内してくれたのだが、一度この寺を見学したことのある俺は、このお坊さんばかり眺めていた(笑)。
一応、建築を見るための見学会だったのだが、俺個人としては、仏門の修行に関する話の方が興味深い。普段一般参拝の人は入れない様な、修行僧のための座禅堂も見せてもらえたし。
流石に大寺院だけあって、本堂の大きさには圧倒された。広さは畳千畳分、高さも36mもあるらしく、バレーボールでもできそうな大空間。
入ることはできなかったけど、寺院内には茶室もある。檀家の方から御茶会に招かれることもあるので、作法を知らなくて恥をかかない様に、茶道も修行の一環として行われるそうだ。仏門に入ったばかりの修行僧は100日間、甘い物を口にしてはいけないらしいが、この茶道の時は茶菓を食べるのも修行なので、入門したばかりの修行僧は公然と甘い物を口にできるこの修行(1月に2回行われる)が楽しみでならないと、案内の若い僧が嬉しそうに(本当に嬉しそうに)語っていたのが面白かった。
寺院内を歩いている間、何度か修行僧とすれ違ったのだが、流石に皆スリムでした。はー。その墨染めの衣の後姿が眩しいよ(いえ。頭だけで無く)。
そりゃ1日に2回の精進料理で、掃除したり御経読んだり座禅組んだりしてエネルギー使ったら、太る方が如何かしているに違いない。
他にも、伝統的木造建築の屋根裏に昇って傾き掛けた建築を補強している様子を見せてもらったり、地震が来た時に作動する制震装置の説明を受けたり、大体2時間程に渡って、寺院内を見学させてもらったのだった。
目的は飽くまで建築見学だったのだが、建築なんかより仏教の教えの方が断然面白いと思ってしまう俺は、やっぱり間違っているんだろうか……

……京都行きたいなあ。

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