先日、かの有名な江戸川乱歩作品のドラマ化作品が放映。
……実は、前々から、かなり楽しみにしていた。
放送日は残念ながら合宿中だったけど、しっかり同居人に録画してもらっていたので、早速観てみました。

あのー。この作品のキャスティング、限り無く巫山戯ていません??


名探偵 明智小五郎=田村正和
怪人二十面相=ビートたけし


……これだけで既に、絶句モノなのだが。更に、

警視庁捜査一課係長 中村警部=伊東四郎
吉永文代(怪人二十面相の助手)=宮沢りえ
蛭田博士=西田敏行
千代(探偵事務所のお手伝い)=久本雅美
謎の依頼人女性=叶美香

ああ。もう、豪華なんだかボケているんだか解らない。

俺の気のせいかも知れないけど、田村正和って、どんな役柄を演じていても、何時も同じに見えるんですけど……古畑任三郎、地で演ってない?
明智探偵登場5分で途方も無い不安を感じた。こんな展開になりそうで

伊東四郎(中村警部)「それは一体どういうことなんですか、古畑さん?」
田村正和(明智探偵)「んー。何度言ったら解るんですか、中村さん?
              古畑じゃありません。
              わたしは、明智です。明智ですよ。ア、ケ、チ」


あのー。すみません。二十面相って確か、美術品しか狙わない大泥棒って設定だったと思うんですけど。しかも人を殺したり傷つけたり、「血を見るのが大嫌い」なんじゃなかったですか?
原作では25歳から30歳ぐらいの青二才だった様に記憶してるんですが。
それで良い年をした大人のくせに、小林君と遊びたい余りに、人形やら西洋館やら落とし穴やら曲馬団やら片っ端から子供が喜びそうな趣向を凝らすけど、結局社会を毎度お騒がせして御迷惑を掛け、警察に捕まってしまう、ピーター・パンの様な心を持ち続けている困ったお兄さんなんじゃなかったですか?
何だか分からない、明智との因縁を引き摺って復讐心に凝り固まり、途中から全く怪盗の「盗」って字を忘れ果てているんですけど。
ちゃんと美術品盗んでくださいよ。ねえ、二十面相。
そして、明智さん、文代さんが初婚じゃ無かったんですか??
しかも文代さんは魔術師の娘ではなく、二十面相の弟子らしい。
……ってゆーか、何より問題は、小林少年が美少年じゃなーい!!

……などと、江戸川乱歩ファンには、ツッコミどころ満載でした。


ドラマそのものは、良くできていると思うんですがね。
でも原作知っている身の上としては「怪人二十面相」と「少年探偵団」と「猟奇の巣」と「魔術師」のエピソードを掻き集めて、二十面相と明智の対決の理由を復讐譚にコジつけ、宮沢りえをヒロインに仕立て上げ、無理矢理恋愛の要素を加えるのは、如何かと思うよ。
それだったら、「怪人二十面相」忠実にドラマ化して欲しいんですが。

……まあ、江戸川乱歩好きのスタッフが集合して、乱歩パロディドラマを1本創っちゃった。と、思えば。……ギャグでね。
ギャグということにしておこうよ。(緑川夫人「黒蜥蜴」風)


繰り返して声を大に主張するけど、決してドラマが駄作な訳では無く、作品としては2時間モノでは近年稀な程、完成度高かったです。

しかし。
ウチの同居人も言っていたが、結局どんなにがんばっても、映像では乱歩世界は、適確には表現できないんではないでしょうか?
やっぱり、乱歩本来の持ち味は「地の文」にあるんで。こんな感じで


「ああ。なんということでしょう。
 その老人はやはり、二十面相の変装だったのです」

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