先月の某イヴェントで、初対面を果たしていたはずのdeadman。
……色々情報を聴いて、とーってもお逢いしたくてドキドキしてたんですが、その日はvo.体調不良で見事振られました。
それで……ずっと気になってはいたんですが。
先日ふと、「17日に新宿ロフトに出演」と云う情報をいただいたので、これはもう行くしかない、と。情報を得たその日に電光石火でチケット獲得。
……例によって未習なんですが。曲以前にメンバーの名前とか、実は何人編成かすらもよく分かってないんですが。
対バンのNookickyに到っては、何それ?? みたいな。

そして迎えた東名トライブ初参戦の当日。外は、雨……
……行きたくねえ。外に出たくねえ。
最近寒かったから、久々に革パン着用。白シャツ黒ネクタイ。左手に匣。
浮かれ過ぎだ。何処から如何見てもバンギャルでしかない上に、更に雨が降っているから右手に和傘。こんな格好で歩きたくないよう。えーん
もうね。電車とか乗っていて普通の人に、奇異の目を向けられるだけなら、別に良いんです……慣れたから(爆)。
でもこの格好で、ロフトに入るのだけは、厭だ。
傘が邪魔なのもあるけど、黒服とかコスプレとかロリィタな人々に「何あれ、浮かれた格好して。馬鹿じゃないの。頭おかしーんじゃないの」とか、後ろ指差されるのだけは、厭だ。
寧ろ、お前等だけには言われたくねえ(←プライド)。
そんな訳で新宿駅で無理矢理ロッカーに和傘突っ込んで5分のロス。
遅刻寸前で新宿ロフトに駆け込む破目に遭ってしまった……うわーん。
せめてマトモでお洒落な傘が欲しい、今日この頃……


■deadman

会場のロッカーに荷物を突っ込んで扉を閉めたと同時にスタート。
御蔭で自分の立ち位置を確保できないまま、始まってしまった。
「スタンディングだから何時だって突っ込めるさ」と多寡を括っていた、俺が大間違いだったんです(泣)。
何だこの後ろで余裕で立ち尽くしている人々は。そして最前エリアの異様な白熱っぷりは。
何か、deadmanのvo.は演出が上手いと云う前評判(?)を耳にしていたので、ステージが良く見える良い位置で楽しみたかったのに、全く見えません。
……泣く泣く後ろで大人しく鑑賞することにしたわ。見えないけど

それで色々と、前評判(飽くまで評判)は聞いていたので「これは絶対良いに違いない」と云う期待半分、「これでつまんなかったら如何してくれよう」と云う反抗心半分で、結構やる気満々だったんですがねえ。
開演5秒で裏切られた。……完璧ヤラレタ


……だって、もう既に曲が好みなんだもん。


もっと行け行け押せ押せの煽り調の激しいものかと勝手に思い込んでいたが、全然そんな感じでない。まあ普通に考えれば十分激しいんですが。
かと言って、耳触りは決して悪くないのね。寧ろ心地良い。
曲自体の激しさで煽っているんではなく、空気感でノせる感じ。音数も特別に多い訳でもなく、歌メロも意外と単純で、演奏的に表面上の技巧に走っている要素は全く見当たらないのに。
音の隙間を空気感で埋めているとでも形容すれば良いのか。音の鳴っていない瞬間にも、確かに何かがその場を満たしている様な気がする。
これ以上、何が増えても壊れるし何が欠けても壊れる。そんな感じの既にこの形で完成されている空気の色。
それで音圧はビシバシ伝わって来るんですが。空気感は確実に密ですが。曲調も全体的にダークなんですが。何だかとっても重そうなんですが。
不思議なことに、それで感じる世界観は決して息苦しくないんだわ。
例えるならば、空気の分子が漂う地上の闇でなく、光の粒子が付き抜けて行く様な、真空の闇(いや実際真空だったら息はできんだろうが)。
久々に、そんなその場の空気を堪能できるバンドだと思った。

ってゆーかね。こんなに空気感が確立されているからこそ、演奏だの演出だの細かいトコを抜きにしても、全然余裕で楽しかったんだと思うわ。
欲を言えば、前でもっと細かいところまで観察したかったのだが。
そりゃ確かに最前で頭振っても適度な距離でステージに見入っても遠くでぼーっと眺めても、眼を閉じて空気感に身を任せても、気持ち良いバンドであることは認めるけどなあ。
為す術も無く立ち尽くしているだけだったら、その場所譲れよ。コラ
ってゆーか、せめてそんなとこで座ってるなよ。
……どうせ遅刻寸前で駆け込んだ俺が、悪いんだ

ふーんだ。次は絶対、前で観るもんね。


■Nookicky

それで入れ替えの間にこっそり前に移動したんだが、正解だった。
幕が上がった瞬間に、もう笑えたんですけど。

(左から)G.……あー普通にヴィジュアル系っぽい。B.……何だか地下室系の人みたい。vo.……ぎゃははははははは、何だその山高帽はぁぁぁぁっ!!

しかも無難にB.だと思っていたら、笛吹いてるよこの人。笛(爆笑)。
更に楽器置いて前に出て来たと思ったら、踊り出したんですけど。


……ってゆーかね。これには正直、度肝抜かれた。

あれで地下室だったら、これは地下10階ぐらいだね。
あれで密室だったら、これはもう推理小説で云うところの「二重密室」だね。カーの「テニスコートの謎」に挑戦した二階堂黎人ぐらいの勢いだね。
現代のライヴハウスが一転して、昭和初期か戦後の闇ブローカー集う地下社交場かって感じで、その雰囲気は当に江戸川乱歩か横溝正史の世界。
今にも「警察の手入れだっ!!」と何処からか聞こえて来ないかと、違う意味で思わずドキドキしてしまったぐらいだ(笑)。
あのインドかチベットの民族舞踊と見紛うかの様な奇怪な動きはタダ者じゃない。最初こそは度肝を抜かれて笑うしかなかったんですけど、凄いです。口をぽかんと開けて、見蕩れるしかできません。
もう、官能とか卑猥とか云う単語を通り越して、淫靡ですらある。
しかも一曲で尽きるネタかと思ってたら、延々と踊り続けるし……

曲自体は、クラシック調の展開だったりジャジーなコードを多用していたり宗教音楽っぽい雰囲気だったりしてるんですが、如何せん、ダルイ。
別に俺としては、こー云う曲調は嫌いじゃないんですが。寧ろ好きだったりするんですが。
立って観るんではなく、場末のバーとかでのんびり座ってバーボン片手に眺めたい。そんな感じ。
何かね。空気の密度が高くて、みっしりと皮膚に纏わりつく様な。
例えるならば、内蔵が歪みそうな程の水圧が掛かった、深海。
ピンスポットの一切無いステージは光が拡散して、何処までも広がっていながら、この閉じられた空間からもうこのまま二度と出ることは叶わないんじゃないか。って錯覚さえ感じてしまいそうな程。

ステージセットも拘っているらしく、マイクスタンドが電飾のオブジェになっていたり、後方に掲げられた写真の目が怖かったり。
地下2階にあると云う会場の特性も生かしていたと思うわ。
当然曲調がこんな状態でステージもこの調子だから、客は呆気に取られて観ているしか術は無いんですが、そんな客席の状態をも考慮に入れた上での、見事な演出だと感心してしまった……
此処まで徹底できるバンドは、稀なんじゃないかしら?
少なくとも、ワンマンでないライヴでこれだけ自分達のステージを徹底して作り出せるバンドを、寡聞にして俺は知らない……


■本日の総括

取り敢えず、11月10日分のチケットは既に確保した。

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